『挑戦・反省・後悔』
ピンポーンパンポーン
このSSを読む際は、ガッシュの目玉が『バビョーン』と飛び出すところを想像して下さい。
どちらかというと、サイレンスコミック風に読んでいただけると、作者喜んじゃう。(CV・DonDokoDonの山口)
ガッシュは挑戦した。
明らかに2002年開幕日韓ワールドカップの影響だろう。清麿宅の物置の中から白黒のブチの球体を探し出してきた。
庭でリフティングを始めたようだ。
よし、そうだ、最初はみんな下手なんだ、ガッシュも練習がんばれ!
ひときわ大きな蹴り上げ音が聞こえた後、隣宅の柵の中にサッカーボールは飛び込んだ。
ガシャン!
ガッシュは、濡れた瞳を揺らしながら家の中に駆け込んだ。
ガッシュは、反省こそすれ後悔はしない!
再び、ガッシュは挑戦した。
今度は家事だ。しかも風呂掃除。
清麿の母上も、よくガッシュのことを心得ている。ガッシュに料理をやらせれば黒焦げにし、ガッシュにアイロンでもかけさせれば黒焦げにし、清麿に『普通、膝蹴る?』と痛がっただけで黒焦げにしてしまう、スーパーボーイだと 言うことを。
そこで、母上が提案したのが掃除。しかも比較的被害の少なそうな風呂場を選択した。
ガッシュはガンバル!
いつも世話になっている、母上の役にたつために!右手に持った亀の子だわしと、右に持った風呂場洗剤で、全身全霊を掃除にこめた!
ガッシュはガンバル!
浴槽の垢も全部落とす!
ガッシュはガンバル!
風呂場のタイルもピッカピカ!
ガッシュはがんばった!
鏡もこすって傷だらけ。
………。
ガッシュは濡れた瞳を揺らしながら家から逃げ出した。
ガッシュは反省だってするが、後悔だってする!
再再度、ガッシュは挑戦した!
公園まで来たガッシュは空を飛ぼうと思った。なぜなら2002年は冬季オリンピック開催の年。
ガッシュだって、ノーマルヒル・ラージヒルのジャンプで感動したんだ!
滑り台の上で構える。もう気分はアメリカ北部の雪山。あたりに見えるは、積もった雪と青い空。そして大勢の観客だ。
指につばをつけて風を感じる。ホントはなんだか飛行機みたいな変なかたちの風向計が設置されてるはずだけど、そんなの滑り台にはついちゃいない。ガッシュも考えてるんだ!
両脇にあった棒をつかむと、勢いよく体をしならせてスタートだ!初速はもちろんの事、ジャンプ寸前のスピードさえ、実際のジャンプと同じ速さだ!(ガッシュの強靭な肉体により作られたエネルギーは人知を超えていた)
飛んだ!(正確には『跳んだ!』)
ガッシュは飛んだ!
滑り台から一直線に飛んだ!
歩道に出ても未だ飛行中。
車道に出ても未だ飛行中。
そして着地だ!
グワシャ!
白塗りのベンツにクリーンヒット!!
近くの和食屋からなにやら、アレな人(人差し指を、もみあげあたりからあごにかけて頬をなぞるように下げる)が歩いてくる!
ガッシュは濡れた瞳を揺らしながら、その場を離れた。
ガッシュは猛烈に後悔したが、くよくよしない!
三度、ガッシュは挑戦した。
落し物を拾ったのだ!
このような場合、交番に届けなければならない、と清麿からきつく言いつかっている。
コレは携帯電話と呼ばれるものだろう、とガッシュは判断した。コレは落とすと大変落胆するのだと、清麿の友人のスズメから聞いた事があった。
コレは急がなければならない!
ガッシュは急いだ!
公園のソバでそれを見つけたガッシュはすぐさま、駅前の交番まで走った!
もう、これでもか、これでもか、ってぐらいダッシュ!
手に汗握る、疾走である!
交番に着くと、スズメがいた。ある意味ガッシュは納得した。
交番に居る婦警さんに、『ケイタイ落としたんです』と涙々と言う泣き虫スズメ。
婦警さんはそれに快く応じていた様子だ。
そんな中、ガッシュはスズメを呼んだ。『スズメの求めているのは、コレではないか!?』
スズメは振り返った。この上の無い、希望の満ちたあたたかみのある表情であった。
が、一瞬で表情が凍りついた。
スズメの携帯は、ガッシュの手の中で粉砕されていた。
疾走したときに、力余ってその強靭な握力によってつぶしてしまったのであろう。
目を潤ませたガッシュは、泣きじゃくりながら駅前通りを走って逃げた。
ガッシュは、その晩なきながら寝た。
今日やった、『イケナイコト』を反省しつつ、後悔しつつ、枕を濡らした。