LEVEL56 戦う勇気 中編
「さわがしいな……外で何か起こっているのだろうか……?」
拳法着を着た銀髪の男が目を閉じたまま呟く。
男は妖岩島頂上の牢の中にいた、手には頑丈な枷をつけられている。
外からは銃声と地響きが絶えることなく聞こえてきていた。
「ここに入れられてから5日……」
5日も閉じこめられているのに男には全く疲れた様子はない。
そもそもこの5日の間、男は自分の身を案じたことなど一度もなかった。
思うのは訳あって別れた女性の安否のみ。
(リィエン……リィエンは無事でいるだろうか)
それだけが彼の望み
「くっそぉおお!何者だ!?
先の侵入者せいで警備が薄くなっていたとはいえ、たった3人でこんな奥まで……」
「ハイー!!」
言葉の途中で黒服の男をリィエンが蹴り飛ばす。
続いてティオが放った熱衝撃波が残っていた黒服を吹き飛ばし気絶させる。
「ここまでは順調か……」
「ええ、あと少しある。」
3人がエレベーターの前に立つ。後はエレベーターに乗って頂上の牢にいくだけだった。
ケイ達の陽動によって警備の数は最低限に減っていたおかげで楽に突破することができていた。
「さ、ウォンレイが待っているわよ!」
「うん、いくある!」
3人がエレベーターに乗り込む。ティオとリィエンの表情は明るい。
ここまでくれば後はウォンレイが閉じ込められている牢屋までは目前だからだ。
(順調すぎる……それに何か酷く嫌な予感がする。)
清麿の表情だけが硬い。彼は何かを感じていた。
(ケイが感じた悪意、それが今なら何となくわかる。)
例えるなら嵐の前の静けさ。
目には見えないし聞こえないけれど、それは確実に存在する。
頂上
「ん……何かがここに上がってくるな。」
「ああ……」
頂上には男と子供がいた。
だがただの男と子供ではない。
男の手には魔本があり、子供には両肩には翼、と足の指には鋭い爪が生えている。
二人は魔物とそのパートナーだった。
「!この感じは……」
魔物の子が声をあげる。その口の端には笑みが浮かんでいた。
「どうした、ザバス?」
男がザバス……魔物の子に呼びかける。
「面白い……面白いよ。上がってくる奴も本当に魔物だ。
これでこの場に全部で3匹の獲物が揃ったよ。」
「へぇ、あいつの情報通りってわけだ。
だが、残念だな、一匹は”先約”が入ってるからな。」
ズゥウウウン
そのとき派手な爆発音が響いた。
二人が地上の方へ視線を向ける。
「ほら、始まったよ。」
「さて……狩りの時間だ」
まるで計ったようにエレベーターがこのタイミングで到着した。
島地上
「お前、は……」
ケイが地上に倒れている黒服の連中を見渡して呟く。
彼が倒したのではない。
『なんて事を……』
地上の一部は悲惨なことになっていた。
彼らが結界を張った場所を除いて地表は焼け焦げ、黒服の悲鳴と苦痛の声が聞こえている。
この光景はたった今現れた存在によってそれは引き起こされた。
「フフフ……お初にお目にかかります。
私の名はロード、いえ貴方達にはNo0と言った方がわかりやすいですかね?」
上空に浮かんだ石仮面を被った者が優雅に挨拶する。
「No0……デスブレイズの親玉か!?」
『そんな、まさか……トップ自ら?』
ケイとクノンに動揺がはしる。
特にケイは信じられないものを見るような目でロードを見ている。
(こいつ……何だ……俺はこいつを知っている?)
初めて会う魔物のはずだがケイは目の前の魔物を知っているような錯覚に陥っていた。
(それに何だこの危険な感じ……No1、No3も相当危険な感じがしたけどこいつは格が違う。
今までのナンバーズとはどこか違う!何だかすごく異質な力を感じる!?)
無意識の内にケイが数歩下がっていた。
それを見てロードは笑う。
「ハハ、ケイ、クノン。そう構えなくていい。
今日は貴方達をスカウトに来たのですから。」