あるプリーストの物語 第二十四話 中編
「百歩譲って鈍器で起こすのは認めるとしてだな・・」
ピューと噴水のように血を噴出しながらギギギとエルクがエレンの方に向く。
「頭はやめろ!頭は!なんか色々危険だから!」
「そうだよ!お姉ちゃん!記憶喪失になったらどうするの?」
「あー、そういうこともあったわねぇ。」
「前科あるのお姉ちゃん!?」
「いいツッコミです、お嬢様。」
懐かしいわねーと遠くを見るエレンにサラのツッコミが冴え渡る。
「前例といいなさい、人聞きの悪い。まぁ、運が悪かったのねー。」
「ほほう!人を記憶喪失にしといて悪びれもしませんか!
戻ったからいいものの流石筋金入りのお嬢様は言うことは違いますなぁ!?」
ブチンとついにエルクがきれる。
「何よ!元はといえばあんたが人の着替えを覗いたのが悪いんじゃない!」
「の・・覗・・先生、そんなことしてたんですか!?」
「覗いたとは人聞きの悪い!あれは120%事故だったはずだ!
そもそも記憶喪失の代償がお前の裸じゃ割りに合わんわ!」
その言葉で 空気が変わる。
「……へぇ、そういうこと言っちゃうんだ、フフフ、あらおかしい。」
エレンが怒りから無表情、そして笑顔に変わる。
どす黒いオーラを身に纏い、冷たい声でエレンが笑う。
「……」
(ふ・・踏んじまった。俺は今とんでもない地雷を踏んじまった。)
先程までの勢いはどこへやら。
絶望という名の二文字に支配されながらもエルクは踏んだアモンラーのファイアーピラー並の地雷にどう対抗するか
どう生き残るかを必死に考える。
(だ、ダメだ!わからねぇ!どう考えてもわからねぇ!っていうか、もう無理!)
暴走モードのエレンという3番隊が誇る凶悪強大にして最凶最悪の最終兵器の前に人はなんと無力なことか。
あらゆる選択肢がバッドエンド。いかなる抵抗も今の彼女の前に無意味ということは彼女をよく知る人間は知っている。
結論、人それを無駄な足掻きという。
踏んだ時点でおしまいなのだ、踏まないように気をつけるしかなかったのだ。
無駄な足掻きとわかっていてもエルクはエレンに告げる。
「ここはですね!大人らしく話し合いとか!
お互いに非があったことですし、ここは痛み分けというか!
聖職者らしく寛大な心で許してもらえたら嬉しいなって……
だから笑顔で鈍器はやめて許してごめんなさいぃぃぃぃ!?」
そして地獄絵図
「合格発表、先送りですねー。長くなると思うのでサラお嬢様、お茶でもどうぞ。」
「……あ…ありがとう。」
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