亮の直感が告げた。-ヤバイ、殺される…-
何故死んだハズの通り魔が此処に居るのかは分からないが、とにかく相手が相手だ。
亮は向きを変え、一目散に逃げ出した。が、その通り魔は凄まじいスピードで
亮に襲いかかる。階段付近で追いつかれ、ナイフを振るわれる。
亮「うわぁぁぁっ!!」
亮は何とか避けたがバランスを崩し、階段から転げ落ちる。すかさず通り魔が階段か
ら
一気に跳び下り、亮へとナイフを突き刺そうとする。素早く亮はそれをかわし、起き
あがる。
刺さったナイフを引き抜き、通り魔はなおも亮にナイフを突きつけた。
バキィィッ!!
突如跳び蹴りを喰らった通り魔が吹っ飛ばされる。亮は何が起こったのか唖然とした
が、
すぐにハッとなり、通り魔へ跳び蹴りを加えた人物の方を向く。
亮「……委員長!!」
亮の呼びかけに和葉が振り向く。眼鏡の奥の鋭い表情が穏和に変わる。
和葉「亮…怪我は無かった?」
和葉が亮の方へ近寄る。亮は階段からの落下のため服に付いた汚れを払い、何とか
ね、と頷いた。
そこへ、通り魔が起きあがり、奇妙な咆吼をあげる。周囲の大気が乱れ、突風が吹
く。
そして、通り魔の目が紅く染まる。一旦がくんとなるが、すぐさま和葉達の方を向き
直る。
通り魔「くっくっく…身体中から力が沸き上がってくるぜ…しかしまさか今日は
「プレイヤー」も殺せるとはなぁ……」
危険な笑みを浮かべ、通り魔は亮達を見た。和葉はそれを凛とした表情で見据える。
和葉「…どうやらレベル2へと進化したみたいね。なら、こちらも遠慮はしないわ」
状況がよく分からない亮は戸惑うばかりだった。
亮「…委員長、一体何がなんだか…」
和葉「説明は後でするわ。ここは下がって」
そして、和葉は両手を翳す。
和葉「我願う、死者の安息なる眠り。浄化の祈り、粛正の力に変えて…
正義の心、具現せよ!」
涼やかな声で和葉が何かの呪文を唱える。そして唱え終わると…凄まじい光が放たれ
る。
亮はその光景に目を疑う。
光が止むと、和葉は巨大な戦槌を持っていた。銀色の光沢、派手な装飾…そして
何かの紋様が刻まれている。
…彼女が付けている指輪が、戦槌へと変化したのだ。
通り魔「だからどうしたぁ!!」
通り魔が自らの腕を刃物の様に変化させ、和葉に襲いかかる。和葉はそれを軽やかに
避け、戦槌を構える。
和葉「聖なる雷よ…焼き払え!」
和葉の声と共に、戦槌から雷が放たれる。雷を受けた通り魔は苦しみの悲鳴をあげ、
その場に倒れ伏す。が、すぐさま起きあがる。
通り魔「…このアマがぁっ!」
刃物の様に鋭く変化させた腕で、和葉に斬りかかる。が、和葉は戦槌でそれを防ぐ。
和葉「無法なる生を受けた哀れなる死者よ…ここには貴方の居場所は無い」
通り魔をはじき返し、和葉は戦槌を振り上げる。
和葉「還りなさい…貴方の本来居るべき場所へ」
戦槌が振り下ろされる。その一撃を受けた通り魔は身体が光の粒子へと変わってい
き…
そして、消えていった。
それを見届けた後、和葉は亮の方を向き直る。亮はその光景に唖然とした。
亮「…今のは、一体…」
何が何だか分からない亮に、和葉が答える。
和葉「…「アンデッド」。無法なる生を受け、人を殺しその血肉を喰らう哀れな死
者。
…亮も、昨日会ったんじゃない?」
亮「……まさか…真由も…」
亮の表情が絶望に歪む。和葉は俯き、首を振って彼の方を向き直る。
和葉「恐らく…亮を襲おうとしたんでしょ…あの子が。」
和葉も亮と真由の仲の良さは知っていた。なのに、真由が亮を殺そうとするのは
和葉にとっても信じがたい出来事である。
亮は答える事が出来なかった。確かにあの時の真由は何かがおかしかった。
自分を殺そうとした。ネックレスが突如輝いた時、皮膚がただれた。苦しそうにして
いた。
が、和葉に「そうだ」と言ってしまえば、真由が「アンデッド」である事を認めてし
まう。
亮「……」
亮は少しの間無言だった。和葉はその様子を見て、質問を変える。
和葉「じゃあ…何で亮は無事だったの?」
亮「それは、ネックレスが突然輝いて…」
亮の言葉に、和葉が驚く。そして和葉が亮に聞いた。
和葉「…まさか、亮も「プレイヤー」!?」
亮「…え、「プレイヤー」って…一体何?」
亮は「プレイヤー」の事を知らなかった。和葉はそれに答えようとした。が。
何かを察知したのか、和葉は亮に叫ぶ。
和葉「亮、伏せてっ!!」
ドォォン!!
突如人影が上から勢いよく降りてきた。砂煙が巻き起こる。亮達は砂煙の向こうに、
二人の人影を確認した。
砂煙が収まるとその人影が明らかになる。二人の女性…そして紅い瞳。
和葉「…全くロイの奴、何が「アンデッドを2体確認」よ…他のアンデッドの動向も
注意して報告して欲しいわね…」
和葉が呟き、その二人を見据えた。そして亮に話しかける。
和葉「亮…確かネックレスが輝いた、とか言っていたよね。とりあえず、共同戦線を
組まない?」
亮「って、いきなりそう言われても…」
亮が戸惑う。ただでさえ昨日からワケの分からない事に遭遇している為、無理もない
が。
和葉「大丈夫!まず頭の中に武器の形をイメージして!」
和葉が言う。亮は目を瞑り、武器をイメージする。
和葉「そして、私の後に続いて唱えて!「我願う、死者の安息なる眠り」!」
亮がそれに続けて復唱する。
亮「わ…「我願う、死者の安息なる眠り」!」
和葉「「浄化の祈り、粛正の力に変えて」!」
亮「「浄化の祈り、粛正の力に変えて」…」
亮・和葉「「正義の心、具現せよ!」」
亮のペンダントが強く輝く。亮はペンダントを覆うように持った。
そして…亮のペンダントが形を変える。それは徐々に槍の形を成した…
輝きが止み、亮はその槍に目線を下ろす。
亮「何だ…コレ…」
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