ある夏の夜の出来事だった。
「…真由!!」
とある公園。
一人の少年は、あり得ないハズの「現実」に、驚きを隠せなかった。
少年の名は「草薙 亮」。
何処にでも居るような少年。黒髪で、鋭いながらも穏やかさに溢れた瞳。
身長の程は中程度の高校1年生。成績・運動神経は中の上、と言ったごく普通の少
年。
彼はその公園で、本来「そこには居得ない」少女と会った。
少女の名は草薙 真由。亮の妹であり、誰よりも亮を慕い、亮自身も彼女を大切にし
ていた。
忌まわしい出来事が起こった、3日前までは。
真由は死んだ。交通事故に遭い、重傷を負った。必死の治療も間に合わなかった…
亮はその時の事を鮮明に覚えている。その時は、涙が止まらなかった事も。
彼は妹の死を受け入れられなかった。故に現在の状況に戸惑いながらも、内心は
非常に嬉しかった。
が、その嬉しさも真由の突然の行動に崩れ去る事となった。
突如真由がジャックナイフを片手に、亮に襲いかかる。その行動に、亮は焦り、驚
く。
亮「…何をするんだ、真由!!」
亮は真由のジャックナイフによる攻撃をかわす。が、完全に避けきるのは難しく、
幾らかナイフの刃が、亮を斬り刻む。
頬が。腕が。脇腹が。斬り刻まれ、そのピリリとした痛みが、亮の困惑をさらに加速
させる。
亮「止めろぉっ!真由!俺が分かるだろ!?」
亮の声は真由には届かない。亮はナイフの攻撃をかわしながら後退するが、躓いて
背中から倒れてしまう。
亮「真由ーーっ!!」
亮の叫びも届かず、真由は兄へとナイフを振り下ろす。
-何で、こんな事に……-
突如、彼が身につけていたネックレスの宝石が輝きだした。
その光は亮を、そして真由を照らし出す。とても暖かな輝き…亮にはそう感じた。
そして、真由の身体に異変が起きる。彼女の皮膚がただれていき、苦しそうな悲鳴を
あげる。
亮は恐る恐るその様子を見た。
そして、真由はその光を恐れるかの様に逃げ、何処かへと去っていった。
亮「何だったんだ…今のは…… 真由」
ネックレスを右手に握りしめ、亮は呟いた。
赤い満月が彼等を照らし出していた。
-そして、死者と「祈りを捧げる者」の戦いが今、始まる-